古今東西、一宿一飯。

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映画「この世界の片隅に」を観て考えたこと

こんにちは、shulinkです。

 

ボクも、このアニメーション映画、観ました。

 

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昭和10年頃~20年にかけての、

広島・呉市が舞台。

第二次世界大戦に突入していく当時の日本で、

一人の少女「すず」を中心とした、日常生活を描いてます。

 

ヒロインすずさんのナレーションとともに、紙芝居みたいに

テンポが早く、次々と時代が変わっていく。

ポスターや予告編では、ほんわかとした雰囲気で、

それが本編でもうまく絵で表現されていると思いました。

キャラクターと背景がすごくマッチしていて、

特に幻想的な風景でなくても、綺麗と思えるんですね。

 

戦争が生活に与えている影響も克明に描写されていて、

食料不足による配給制度や、道端の雑草も食べる試みや、

闇市の賑わい、当時の様子がよく分かりました。

 

当時の人たちの感覚では、戦争も1つの天災みたいな

ものと受け止められていたということを、なにかの本

で読んだことがあって、その感覚が、この映画にも

あって、だから全然、「反戦」じゃないんです。

反戦」というのは、後知恵ですからね。

 

それから、

「ぜいたくは敵だ!」とか

「欲しがりません、勝つまでは」とかいう、

スローガンは出てこなかったけど、確実に

自由が制限されている描写がありましたね。

絵を描くことが好きな、すずさんが、停泊中の

軍艦をスケッチしていただけで、スパイ行為だと

憲兵から叱られた場面。でも、そんなシーンも

後から笑いに変えるのが当時の生活感覚なんですね。

この映画、すごく笑えるシーンがあって、映画館内

も何回も爆笑が起こってました。

ちなみに、スローガンがあると、そういう社会

だったんだと後世の人たちは誤解するけど、

実態は真逆だから、そういうスローガンが

あったと解釈する方が正しいと思います。

 

すずさんの恋愛としては、

冒頭、街に出た時に、あるトラブルに巻き込まれ、

そこで出会った少年が、成長後に、すずに求婚する

という展開なんですが、それが全然ドラマチックに

は描かれなくて、意外に思っていたんですが、結婚後

の恋愛ということに力点が置かれているんですね。

結婚初夜のやりとり、セリフもいいですね~

そういう儀式で、当時の雰囲気が醸し出されています。

 

あと、印象的なシーンは、

すずさんの近所に住む、ある母親の一人息子に召集が

かけられ、ご近所(4人?のご婦人)で、小さい国旗を

振って、形式的な祝福をする場面。

それが、ロングショット(遠写し)なんですね。

この親子がこちらを向き、無表情で、

見送る婦人方は背中を見せている。

息子を召集される、母親の悲しい気持ちとかを

アップにしたりして描かないんですね。

そういうことは、もう日常的な風景だったから、

さらっと描写したのでしょうか?

その地味なシーンに、ぐっときました。

 

最後に、この映画、今年一番だとか評価されている

ようですが、そういう煽り文句とかは好きじゃない

けど、自分の今の気持ちに、すーと入ってきた、

いい映画を観ました。良かったです。

 

では、また~