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映画『マルクス・エンゲルス』を観て考えたこと

こんにちは、shulinkです。

 

5月末に、神保町の岩波ホール

映画『マルクス・エンゲルス』を観てきました。

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2017年のドイツ・フランス・ベルギー合作で、ドイツの思想家カール・マルクス

フリードリヒ・エンゲルスの若年期を描く伝記映画です。

原題は『The Young Karl Marx(若き日のカール・マルクス)』ですが、

マルクスエンゲルスが共同で共産主義の思想を打ち立て、労働運動を展開して

いく内容なので、珍しく邦題『マルクス・エンゲルス』の方がしっくりくるかも

しれません。。。

 

さて、映画の内容と考えたことをこんな感じでまとめました。

 

(1)あらすじ

 1840年代のヨーロッパで、カール・マルクス(1818~1883)と

 フリードリヒ・エンゲルス(1820~1895)が出会い、理想に燃えて、共産主義

 という思想(というより派閥か?)を作っていく過程が描かれています。ただ、

 その手法が強引だったことも描いています。ほぼ史実どおりだと思います。

 

(2)時代背景と世界情勢

 まずは年表を見ると、

 1700年代後半よりイギリスの産業革命が始まる

 1804年 フランスのナポレオン皇帝が即位

 1815年 ワーテルローの戦い

 1830年 フランス七月革命(富裕市民主体)、ベルギーが独立

 1840年 アヘン戦争勃発

 1848年 フランス二月革命(労働者階級主体)

     マルクスエンゲルスの『共産党宣言』を出版

 産業革命により、労働者は貧困にあえいで、格差が問題になっていた。

 20代半ばのマルクスは新聞の記者となり、搾取と不平等な社会を訴えていた。

 新聞がこの時代の最先端の思想の伝達手段だった。ただ、映画では、どの程度

 庶民が政治批判の新聞を読んでいたのか分からなかった。でも、警察に逮捕される

 ほど、権力者にとっては煙たい存在だったのでしょう。

 マルクスは故郷プロセイン(現在のドイツ)では家族とドイツ語で話し、

 当時最先端だったパリに来たら、他の知識人たちや政治活動家たちとフランス語

 で話し、イギリスに渡ったら英語で話す。

 

(3)資本家と労働者の対立

 映画の冒頭、プロセインで木材窃盗法という法律が成立して、それまで何も問題

 なかった、森での枯れ木拾いが突然犯罪になってしまった。所有がある階級だけ

 に認められるものになっていった。

 この映画で初めて知りましたが、エンゲルスの父はドイツ人だけどイギリスで

 工場を経営する資本家でした。エンゲルスはその経営の仕事を手伝いながら、自分

 の工場の労働問題と向き合う必要があった。そして、労働者の女性と付き合い、

 労働者の実態を知り、その問題を告発していったように描かれています。

 

(4)マルクスの動機は?

 エンゲルスに比べ、マルクスは何をきっかけにして、政治批判を繰り返し、

 政治活動家になっていったのかが分からなかった。マルクスと妻とのラブシーン

 が丁寧に描かれていたが、このシーンは革命家としての情熱を表しているのかな?

 と邪推したりしました。

 

(5)共産主義の成り立ち

 映画のクライマックス、エンゲルスが「正義者同盟」という労働運動の集会で演説

 をして、それをマルクスが見ているシーンがあります。そして、その演説の中で、

 マルクスエンゲルスが「正義者同盟」を「共産主義者同盟」へ強引に作り変え、

 その主導権を握ります。このグループが共産主義を広めることになりますが、後に

 内部抗争により瓦解していくことにもなります。

 そんな過激派にならずに、もっと穏やかに

 「今日は体調不良で会社を休みます。」みたいな抵抗ではダメ?

 

 

映画の後は、神保町のスープカレー「鴻(オオドリー)」で夕食

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思想も大事ですが、人間社会は下部構造が一番の土台です。

 

今後、この映画に触発されて、自宅にある、経済に関する本を読んでいきます。

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共産主義も資本主義もビジネスも会計も消費行動も全部ひっくるめて。

今は、でっぷりと太った資本家が労働者をアゴでこき使うというイメージはなく、

労働は楽しむものとイメージの流布に一役買っているような気がします。

恋愛も障害があるからこそ盛り上がり、そこに様々な消費が絡んでくる。

そんなことを考えた、七夕の夜でした。

 

 

では、また~