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『隷属なき道~AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』を読んで考えたこと

こんにちは、shulinkです。

 

勤労感謝の日にちなんで、

『隷属なき道~AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』を

読んで考えたことを書きます。

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本書によると、1930年に「2030年には労働時間が週15時間になる」と

英国の経済学者ケインズが予測したそうです。増え過ぎた余暇が人類に

とって、最大の問題になると。

働くことより遊ぶ方が難しい。それは古い価値観に縛られているから?

苦役の後にしか楽しみはないと思い込んでいるから?

「楽しいばかりじゃハリがない山も谷もない道じゃつまらない

ジェットコースターにならない」

なぜ楽しいだけじゃダメなのか?何か価値があることをしなくてはダメだと

いう強迫観念なのか?でも現代は供給過剰の時代なのだから、生産するより

消費することが求められているのだと思う。もし仕事でやることがあるとす

れば、それは生産性の向上、つまり、より少ない労働時間でより多くの成果

を上げること。ボクは、瞬間的に戦闘力を上げるタイプの企業戦士なので、

労働時間の短縮は大賛成ですが。

 

著者曰く「大きな政治、すなわち理想の社会を語ることが必要だ」

小手先の政策では、有権者に何もアピールできない。

しかし、人々の信念を変えることは難しい。それは非現実的だという批判

はその人が現実を変えたくないという気持ちの表明に過ぎない。今は突飛

なアイデアでもいつか常識となる時が来る。ただ、その時には多くの人に

世界に大きなショックが必要だろうと述べています。

著者は、ベーシックインカムはどれだけ効率的に多くの貧困者を救ってきた

かを様々な実証実験を取り上げて説明してます。ベーシックインカムは、全

員にお金を配るだけだから、審査や書類がほとんど要らない。確かに無駄な

間接部門を削減する点で良いように思える。しかし、国家への求心力は保た

れたままだ。これでは軍事国家や福祉国家と変わらず、民衆は国家からの圧

力を受けるのではないかと思う。

 

著者が引用した研究結果によると、

多くの人々が自分はくだらない仕事をしていると思っている。これは報酬が

高い人でも同様だ。価値を生み出していない間接部門(管理部門)でこの傾

向が強いのだろうと推測する。

仕事自体の価値について、著者が興味深い過去の事実(事件?)を例に取り

上げ説明していた。

1つは、1968年のニューヨークでのごみ収集業者のストライキにより、街は

ゴミで埋め尽くされ、1週間でストライキ側の勝利で終わったこと。

もう1つは、1970年のアイルランドで銀行が半年間営業停止(ストライキ

になっても大きな問題が起きなかったこと。なぜか?それは全国1万店以上

のパブが銀行代わりになり、それまで通り、お客が小切手で決済できたから。

人が銀行を必要としている以上に、銀行が人を必要としているのでないか。

本書で言及はなかったが、同様のことが1970年代のイスラエルでも起きた。

病院がストライキで休業した時、死亡者数が減少したそうだ。

ある仕事が重要かどうかは、その仕事がなくなって、本当に困る人がどれだ

けいるかによるのだと思う。不必要な仕事ほど、意味もなく重要性が叫ばれ、

拡声器を持っていて騒々しい。だから、公務員やマスコミはストライキしな

い方がいいんじゃないかな?と思いますよ。

 

ベーシックインカムというと、いきなり突飛な発想だけど、年金と似ている

と考えれば、ベーシックインカムも一部実現しているのでないか?と思う。

本書では、生活保護ベーシックインカムとの類似についての記述はあった

けど、年金については言及していなかった。現状の延長線上に未来があると

考えた方が多くの人々に受け入れられると思う。ただ、我々のベーシックイ

ンカム(年金)は年々支給年齢が上がって遠くになりにけり・・・だけど。

 

AI(人工知能)やロボットで仕事を失くす人たちは、本書では「中流」と表

現されていたけど、本当はホワイトカラーでオフィスワークしている人たち

が不要になっていくのだろう。IT化が進み、中間管理職が激減したように。

だから、ホワイトカラーの人たちは転職先を探すのではなく仕事しないで済

む生き方を探す必要があるかも?たいていの人は、そんなに仕事ができない

のだから、仕事が少なくなっていく時代において、仕事を獲得できるのは有

能な人だけだから。じゃー何をすればいいのか?というと、楽しめばいいん

じゃないでしょうか?美味しいもの食べて、旅をして、絶景に浸る。人間は

そういう浪費を得意とする種族ですから。

 

それから、著者は「国境の開放」は世界の貧困を一掃する最良の方法と提案

している。しかも、豊かな先進国は移民に労働市場を開放すれば富は増大す

るという研究結果もあるそうだ。それを阻んでいるのは、先進国の古い考え

に縛られた人たちだと主張する。しかし、移民が雇用を奪ったり、犯罪者や

テロリストになるという主張には証拠やデータの裏付けがない。アメリカで

は、9.11以降、国境の警備が強化されたことで反対に不法移民が祖国に帰れ

なくなっている。現状の、「America First」や英国EU離脱を考えると、

国境を開くというのは突飛なアイデアで受け入れがたいけど、古い考えを

少しずつ修正していく工夫が必要だと思う。でも、そう簡単にはいかない

ですよね。自国の自動車会社が外国資本に乗っ取られそうになったら阻止

しないといけないし、紅白歌合戦を観終わったら初詣に行かないといけな

いし。でも、GDP国内総生産)が成長していれば、自分も豊かになった

かも?というエリートたちが使うスカウターの数値は信用しないようにし

た方がいいと思います。

個人的には、国家という幻想、虚構(『サピエンス全史』の受け売りです)

からも、いつか解き放たれる時が来ることを願ってます。その時には、人

類は国家に頼らない、新しい段階に入っていくのでしょう。

移民は経済を活性化するだろうけど、受け入れた国の民衆は色々なプレッ

シャーを感じ、さらに頑張ることを強いられる気がする。せっかく、ベー

シックインカムをもらって、悠々自適に暮らしていけると思ったら、移民

と張り合わないといけなくなっちゃった・・・とか。

ところで、ボクはいつからベーシックインカムをもらえるのかな?

 

最後に、本書を読んで、ボクが、働くということを突き放して考えてみよう

と思ったのは、著者が引用している『死ぬ瞬間の5つの後悔』という本の文章

に強く惹かれたから。この本は、介護人として世話をした患者たちの最後の日

々について語っています。その箇所を以下に引用します。

「最大の後悔は『他人が私に期待する人生ではなく、自分に正直に生きれば

よかった』というもので、2番目は『あんなに働かなければよかった』です。」

 

この3連休、仕事のことは忘れて、自分の人生について考えてみようと思いま

す。仕事のことを忘れるのは、毎日職場を出た瞬間からだけどね、あはは・・・

それにしても、3連休でも足りないですね。

増え過ぎた余暇はいつ実現するのかな~

 

では、また~